3月20日 〜手術翌日〜 

2回目のトイレのあとは、身も心もすっきりしたのか、ぐっすりねられた。といっても2,3時間であったと思うが、案外すっきりしていた。(よく考えたら、ここ何日間そんな睡眠しかとっていなかったような気がするので、そのせいだよね。)7時ごろ目がさめ、やはりトイレにいきたくなった。昨夜の事件があったので、看護婦さんを呼ぼうかと思ったけど、あまりにバタバタ走り回ってる忙しそうな姿を見てしまったので、またためらった。自分で・・・と思ったがベッドの横をみると車椅子がない!仕方がない・・・。松葉杖でいってみるか。「無理は禁物」・・・昨日肝に命じたはずなのにもう忘れている。これが私の○十年変わらない性分。・・・でも結構大丈夫だった。鬼門であるトイレまでの廊下もなんなくクリア。やればできるやん。へんな間違った自信をまたつけてしまった私であった。頑張るべきところと、甘えるべき所を今日もまた間違えた。なにもなかったからいいものの、他人にはこの頑張りは決して勧めるべきではない。そうこうしているうちに看護婦さんが検温に来てくれた。昨日と違う看護婦さん。決して若いほうではないが、とっても話しやすそうな看護婦さん。昨日からいまの状態を話すと「男の人は、痛みに弱くてね。夜中に何回も痛み止めをうってというのよ。気分が悪くなるより、痛いほうがいやみたいでね。それで吐きながらトイレにいったりしてる。女の人は逆やね。でも、このしんどさは今日の午前中までよ。うそみたいに収まるから大丈夫よ。」やっぱりいい人だった。この言葉で、先が見えて気もちが明るくなった。まだ吐き気はあったけど。
朝食は、やはり食べられそうになかった。手術前の夜からほとんど何も食べてないから
おなかはぺしゃんこなんだけど、食べられないってほんとうに人間にとって地獄だ。(・・・内臓の手術だったらもっと食べられないのにね。ほんと大げさ。)仕方がない、テレビでもみるか。普段あまりテレビを見ないので、なにをやっているかわからない。とりあえずつけていると、八木先生がきてくれた。昨日も遅くまで病院にいたに違いないのに、こんなに早くきてくれるなんて・・・。家は近いんだろうか・・・。
「少しは寝られましたか?」とにこやかに聞かれたので、わたしにとっては2,3時間は立派な睡眠なので「はいよく寝られました」と答えた。「ちょっと見せてください。傷みは・・」
と聞かれたので間髪いれずに「めちゃ痛いですわ」と答えた。「それよりも、頭痛と吐き気がひどいんでつらいです。」というと「熱も高いみたいだし、リハビリは今日は延期しましょうか?」とにっこりしながら先生。私は、ほっとしたような、がっかりしたような、複雑な心境であった。
しばらくしてから、子供たちを預かってくれている母に連絡した。母が「顔をみにいこうか?」といってくれた。ちびサンたちのお世話だけで大変なのに・・・。気持ちはめちゃくちゃうれしかった。だが、さすがに遠慮した。
午後からは、看護婦さんのいうとおり、うそみたいに元気になった。元気になったら暇になり、松葉杖で歩くのも平気になったので、病院内をうろうろしていた。
そして、夕方、子供たちに電話した。おにいちゃんがでるなり「おかあさん、足治ったんやってね!よかったなー!」と一言。目頭が熱くなる。いもうとは「おかあさん、手術終わったんやったらいつ帰ってくるの?」と一転してさびしそうな声。「うん、もうちょっと・・・ごめんね。」といいつつ、また別の涙があふれてきた。