@靭帯を切ったときの様子
今から十数年前、バレーボールの試合中でした。
アタッカーだったのですが、そのときはとても調子が良く、スパイクがけっこう決まってました。体も軽く、ジャンプも高かったように思います。
そして、試合中盤でスパイクを決めたのですが、その1本は打った後に上空にいながら相手コートにボールが落ちるのがわかるぐらいジャンプしていました。しかし次の瞬間、着地したつもりが、気がついたら床に倒れていました。
起きあがろうとしましたが、全く力が入らず、チームメイト数人に抱えられてベンチの前で横になりました。当然即選手交替です。
その後すぐに激痛が襲ってきて、試合が終わるまで苦しんでいました。痛くて椅子に座ることもできませんでした。膝はパンパンに腫れ上がりました。
どうやって怪我をしたのか、足をどうひねったか、思いだそうとしても、一瞬のことで、全くわかりませんでした。よく「ブチッ」とか「ボキッ」と音がした、とか聞きますが、そういう感覚もありませんでした。
今から考えると、おそらく着地の時に左足1本になってしまい、着地の瞬間に大腿部がねじれたのではないかと思います


A手術の内容
(どこをどのくらい切ったか、どの腱を移植したか)
手術名で言うと「左膝前十字靱帯再建術」になります。
メスを入れたのは左膝の皿の外側斜め上から皿の下まで、20cmぐらいです。
移植したのは膝蓋靭帯(膝のお皿と脛骨を結んでいる靭帯)です。膝蓋靭帯の真ん中部分を縦方向に切り出しました。真ん中部分を両端に骨を付けて切り取ります。(骨は切り取る靭帯と同じぐらいの太さになるようにえぐり取ります)
膝蓋靭帯は真ん中が切り取られた状態になりますが、幅が広い靭帯なので、中抜けになっている箇所を縫い合わせておけば問題ないそうです。
大腿骨と脛骨の端の、元々靭帯がつながっていた場所に、穴を開け、切り出した新しい靭帯の骨を埋め込んでネジで止めます。接合部の骨どうしがやがてくっついて新しい靭帯になります。
私の場合は、切り出す膝蓋靭帯は移植先と同じ左膝から取りました。


B手術にいたるまでの経過
(どこで、診察を何回受けた、だれかかからどのような情報を得たなど)
怪我をしたのが日曜日だったので、当番で開いている病院(いちおう総合病院)に行きましたが、今思えばこれが不幸の始まりでした。レントゲンをとって骨に異常がないことがわかると「捻挫です」とのことで湿布と塗り薬を渡されました。整形の医者ではなかったので仕方なかったのかもしれません。
当然、なかなか腫れと痛みはひきませんでした。すぐに他の病院の整形外科を受診すれば良かったのですが、最初で病院というところに不信感を持ってしまい、知り合いに紹介してもらった接骨院へ行きました。接骨院ではすぐにギプスをし、その後順調に治りました(と自分では思っていました)。
しばらくしてバレーボールを再開したのですが、よく膝を捻挫するようになりました。何回目かでかなり重い捻挫をしたとき、初めて整形外科を受診しました。最初に怪我をしてからすでに半年以上経過していました。
ここで初めて前十字靭帯断裂の疑いありと診断されました。その後関節鏡での検査を行い、断裂していることを確認しました。半月板も一部割れていることがわかり、検査の時に不要な部分は取りました。
それから医師の説明を受け、3週間か4週間ぐらい後に手術しました。


C入院してから、退院までの簡単なスケジュール
かなり記憶が希薄になっていますので、参考程度ですが
・入院→手術まで:5日ぐらい
・ギプスでの固定期間:6週間
・院内リハビリ期間:10週間ぐらい
   以上、入院期間4ヶ月半ぐらい
・その後、通院によるリハビリ:半年ぐらい
   以上、合計すると1年弱ですね


Dリハビリの経緯

(特にどれくらいで、どの程度の運動ができるようになったか)

入院時の細かい経過はもう覚えていません。
ただリハビリ開始時は膝の可動範囲(屈曲・伸展)が非常に少なく、特に膝が曲がってかかとが臀部につくようになるまでに時間がかかり、とても苦しかったのを覚えています。術後半年ぐらいで普通に歩けるようになり、9ヶ月目ぐらいでジョギング、約1年たってからバレーボールを少しずつ始めたように記憶しています

E使用した装具など

大腿部の上部から足首にかけて固定する装具を使いました。ほぼ左足全部をカバーするような感じです。関節の部分は可動域を調節できるようになっていて、リハビリの経過に合わせて可動域を拡げていきました。

F今の状態、心がけていることなど
もう歳なので(40前)、出来るだけ長くバレーボールが出来るように心がけているつもりです。
・無理をしない
膝の調子が悪いときは無理をせず、試合や練習に出たくても出場しないようにしています。出場するとどうしても無意識のうちに無理をしてしまうので。
人数不足などでやむを得ず出場するときは、「勝敗よりも怪我をしないこと」と自分に言い聞かせてだましだましやっています。
・筋力トレーニング
膝に負担をかけないためには、周りの筋肉でカバーしなければいけないので、ちょっとずつですが筋トレをしています。レッグエクステンション、レッグカールが中心です。
・ウェイトコントロール
今の自分には一番大事だと思うのですが、実践できていません。筋力アップも大事ですが膝のためには体重を増やさないことが重要です。わかってはいるのですがじわじわと増え続けています。

Gこれから、治療を受ける人へアドバイス

私の認識では、切れてしまった十字靭帯は移植をしない限りつながりません。
本格的なスポーツをしたいのであれば再建手術を受けることをおすすめします。不安も大きいと思いますし、リスクもゼロではありません。
とにかく手術の内容、入院期間、体への影響など、疑問に思うことは何でも医師に確認し、十分な説明を受けてから手術に踏み切られた方が良いと思います。

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